社会の窓

先週あたりに簡単に書きましたが、教えている一クラスで、Invisible Childrenという団体を支援するキャンペーンをはじめました。


スーダンのダーファーやケニヤでの内戦と繋がりがあるのですが、北ウガンダでは20年ほど内戦が続いています。 ウガンダ政府を転覆を図る、アチョリ民族出身のジョセフ・コーニーという人が指導するLord's Resistance Army(LRA・神の抵抗軍)というゲリラ・グループがいます。 アフリカでの紛争で全般的に問題になっているように、LRAも子供を誘拐して兵士として、その戦力としています(子供のほうが洗脳しやすいのと、子供が兵士だと、敵もなかなか殺す気になれないからでしょう)。  


子供兵士に関してウガンダの状況は少し特殊で、指導者コーニーの率いるゲリラ軍は、アチョリ民族の子供をターゲットとします。つまり、自分たちの民族の子供を誘拐して兵士化するわけです。 ウガンダ政府はこの状況にたいしてほぼ無介入。 ほっておけば、アチョリ民族は内側からかってに滅びていく、といった思惑のようです。


ちなみに、2日前、4月11日はウガンダ政府とLRAとの間で平和協定を結ぶ予定でしたが、ジョセフ・コーニーは署名を『延期』したようです。 

関連記事は、こちら↓(英語です)
http://www.sudantribune.com/spip.php?mot17

日本語の記事は↓ 
http://www.news.janjan.jp/world/0510/0510023215/1.php

http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20060616/1151245381


アチョリ民族(やその他の民族)から誘拐されて兵士になれば、統計の一部として記録に残ります。 内戦の中で死ねば、兵士にされた子供たちは統計の一部として、記録に残ります。


記録にのこらないのは、ゲリラ軍からの誘拐を恐れて、毎晩遠くの町まで寝床を探しに歩いていく子供たちです。 Internal Displacementといって、今までの難民とは違い(難民は自分の国を失うこと)、自分の属する国の中で漂流化することになります(だから今の国際法の立場などからは人道的介入が難しくなるわけですが)。 これは、あたらしい形の難民問題であって、従来の人権問題の考え方に修正を迫るものです。


ゲリラ軍は、夜中にとくに田舎を襲って子供たちを誘拐していきます。 それを恐れて、何百人もの子供たちが毎晩、街中まででかけて、廃墟やバスのターミナルなど、安全に眠る場所をさがしています。 子供たちの国内での漂流化は、逃げながらも生きているのに(生きているから)、記録にならない。 ウガンダのこの問題は、一般的にはほとんど知られていません。だから、Invisible childrenという名前がついています。 


この内部漂流を余儀なくされている子供たちを支援する団体が、Invisible Children, Inc. です。 
大学生たちが創めた団体で、アメリカ中の大学のキャンパスを通して、大学生がテコとなって、北ウガンダの子供たちの支援をしています。



私の受け持ちのクラスは、この団体の運動に参加しちゃおう!ということに。 スピーチのクラスなので、自分たちの「話す力」がどれだけほかの人を動かすことができるか、というのが主眼にあります。 


この団体を支援するために何かをやろうというのは、もちろん私のアイディアではなく、人権問題に関するスピーチの勉強をしたあと、春休み前に『なにか、実際に、もっと具体的なことをやれないか?』と言い出した生徒たちが主導権を持って、私がお手伝いすることになったのです。


ウガンダでの状況を知ってもらうことと、寄付を募ることをメインに、只今支援キャンペーン中。 Invisible Childrenが出版しているドキュメンタリーを上映して、生徒がスピーチをして、寄付を募る、というイベントを先週やりました。 

ここからドキュメンタリーの一部がいくつかみれます↓ (英語)
http://www.youtube.com/watch?v=JOrzBOauLyo&feature=related


30人ぐらい観客がきて、200ドルあがったら成功だと正直なところ思ってたのですが、予想に反して100人以上の生徒たちがキャンパス中から来てくれました。 (観客を前に、生徒ビビリまくり・笑)上映前に、まず2人がスピーチ。 50分のドキュメンタリーのあと、3人がスピーチ。 イベント終了後、生徒たちと寄付額を数えたら、なんと700ドル(7万円ぐらい)近い金額が集まりました!(生徒もあたしも、びっくり・笑)  春休み以来、生徒たちが必死の形相でウガンダの勉強して、スピーチの練習して、イベントの宣伝をした結果です。 みんな、よくがんばった! 


来週に、また同じイベントをやります。今度は、キャンパスの生徒だけでなく、一般の方たちにも公開しています。 学期末だし、どれくらいの観客がくるのか分からないけれど、こうやって授業がいろんな形に変わっていくことは、あたらしい充実感。 


次のイベントは24日。 その結果も、またレポートしますね。 乞ご期待!