社会の窓

今日のメインは、ケーテ・コルヴィッツ(Käthe Kollwitz)美術館。 個人運営のこの美術館では、1890年の後半から、1930年代中盤にナチによって創作活動・展示を禁止されるまで、貧困などの社会問題や、人間の悲劇と痛みなどをテーマとして絵画・彫刻で活躍した女性アーティスト。 


息子と孫を、それぞれ第一次世界大戦と第2次大戦で亡くしているので、女性と戦争のテーマでの作品も手がけています。  

Käthe Kollwitz Museum Berlin
http://www.kaethe-kollwitz.de/werkschau-en.htm

4階建ての美術館を見ていて知ったのは、有名なMother and Childは外的な作品なのかも。 暖かい気持ちを鑑賞者へ与えてくれる作品、もしくは、作品中の人物に笑みがあるものはごく少数で、チャコールで描かれた絵、墨ですられた版画は、パワフルるに落ち着かない気持ちにさせます。 


お腹が空いたと叫ぶ両脇の子供を見ないために手で顔を覆い、子供の声を聞き聞かないために、もうひとつの手で脇にいる子供の口をふさぐ母。 初期の貧困を問題にした絵は、とても生々しく辛辣です。 今私たちが同じ状況にあったならば、自分はそうしない、とは決して言わせないような力を持っています。彼女が描いているのは第一次世界大戦の前後時代なのだけれど、今、現在の貧困や階級のことを考えずにはいられません。 


中でも、彫刻のいくつかがとても印象的でした。 
Mother in Grief (悲しみに暮れる母)を含めて、展示されている小ぶりなものはどれも、悲しみの迫力にあふれています。 


戦争と追放(Excile)の結末にあるものを体現したMother in Grief 悲しみに暮れる母は、ウンター・デン・リンデン通りにあるノイエ・ヴァッヘ(プロイセン時代の王宮護衛所)の前に設置されてるそうです。 コール首相が彼の任期の間に設置したものだそうで、 ぜひ観にいってみたいです。