社会の窓 Skewed Space: Grad School

日本でもここ数年うつ病に対する認識が変わってきて、「プチ鬱」なんて言葉が女性誌や一般雑誌で使われるほどにまで一般的なものになってきました。


大学院という場所は、以前に軽く触れたように、とても特殊な空間です(だから、あえてSkewed Space(ねじれた空間)と名付けてます)。そして、この空間は、鬱にまみれています。 


アメリカに限ったことでは決してないと思いますが、私が知っているのはアメリカの大学院だけなので、私の話はここに限定しておきます。 


大学院では、劣等感とエゴと、変人と孤独な勉強と約束されてない将来と、少ない給料とストレスと、部屋と私とワイシャツとで、うつ病にかかっている人がたくさんいます。私の通う某大学は、全米1、2位の生徒数を争うマンモス校(たしかテキサス、オハイオと並ぶ大きさです。いまさら「某」ってこともないんだけどさ)。


私がここの大学院にやってきてから、もうすぐ5年がたちます。
福利厚生の一部で、うちの学校では学校が医療費を全額負担していました(去年から変わって、今年から病院にいくたびに、$10とられます。くそぅ)。 この5年間の間に、大学が委託している保険会社が3回変わりました。これはめずらしいことです。


うわさによると、大学院生の半数が(!)プロザックうつ病のためのお薬)を服用していて、このクスリには当時類似品などがなく、また特許のためにとても高価だったため、保険会社が「こりゃかなわん」と、うちの大学を担当するのをやめたそうです。


あくまでうわさなので真偽のほどはどうかわかりませんが、大学生の半数がうつ病にかかっている、またはかかったことがある、というのは、あながちウソではないと思います。 私の周りをみても、抗鬱剤を服用している人がほとんどです。 あ、わたしも2年前に、半年間お世話になりました(効いたよ)。 正確に院生の50%が服用しているかどうかよりも、そのうわさ的なことがもつ真実味は、大学院がどんな空間か垣間見せてくれます。


大学の教授は、はっきり言って、「変わったやつ」が99.8%です。
変人ばかりの中にも、たまに「ふつう」の教授はいます(私の所属する「おらが院」にも、ステキな女性の、「常識」のある先生はいます)。 ですが、「変人」にかこまれた「ふつう人」は、大阪における巨人ファンのごとく、見下されます


見下された「ふつう人」の教授に付くか、変人指数高めだけれど学会「最先端」の先生に付くか、それは個人の判断ですし、一概にはなんともいえないでしょう。(ちなみに、わたしは後者です。わたしのアドバイザーは変人指数738ぐらいです)。いずれにせよ、ほとんどの人は「ふつう」でない教授と付き合っていくことになります。


・・・・・変人に振り回されてりゃ、鬱にもなるってば!


アドバイザーとの上下関係はもちろん、多くの大学院生はティーチング・アシスタントTeaching Assistant やリサーチ・アシスタントResearch Assistantとして(ごっつぅ)少ないお給料で働いています。 


TAの場合、生徒との上下関係もあるのですが、基本的に、上(先生)からも常に評価され、下(学生)からも評価され(この、生徒が先生に下す評価については、また後日)、

             なおかつ、

いっぱしの研究なんてまだできないので院内ではさんざん子供扱いされ、それでも「大学院生」というと「なんとなく偉いことしてる」ような中途半端な社会的認識もエゴもある。


ようするに、なんでも中途半端で宙ぶらりんな中で、劣等感とエゴのせめぎあいの毎日です。


これに加えて、大学院内での政治争いなんてのに巻き込まれると、もう「ストレス解消〜♪」(←おにゃんこクラブでおねがいします)なんて笑ってられない。こうやって、どんどん変人の再生産が・・・・ 。 鬱にならんほうがすごいバイ。



次回は病気つながりで、ドラッグなことについて書きたいと思います。(←憶えてたらねぇン♪)