社会の窓

日曜日の今日は、人形劇を観にお出かけ。アレクサンダー広場の先、地下鉄Weinmeister駅の側に、めちゃくちゃステキな人形劇のシアターがあります。


シアターといっても、子供と大人20人も入らないぐらいの小さい場所なのですが、操られる人形は木彫りだし、ステージの背景もカーテンも、お人形のお洋服も、どれも手作り。  ステージの背景だって絵の具で描いた風景なんかじゃなくって、いろんな種類の布を縫い合わせたもの。 そりゃぁ、もう、職人芸の世界。


私達が観たのは、グリム童話のかえるの王様(Frog King)。 


プリンセスが、遊んでいる間に金の鞠をなくします。 そこに現われるかえる。 プリンセスは、金の鞠を見つけてくるかわりに、彼の望むお願い事をかならずきく、という約束をします。


ある晩、プリンセスがお父さんの王様と晩御飯を食べていると、かえるがやってきて、約束を守るようにとプリンセスに迫ります。


彼が望んだのは、プリンセスと同じお皿で食事をし、同じグラスからワインを飲み、同じベッドで寝ること。


汚らしいかえると食やベッドを共にするのは嫌だとプリンセスは王様にすがり付くのですが、相手がかえるだろうと何だろうと、かわした約束は守らなければならないと、王様はかえるの願いを聞くようプリンセスに命令します。


寝室に戻るプリンセス。 ベッドを共にすることが嫌で、かえるを壁に向かって投げつけると、ボム!   魔法がとけて、王子様が現われるというストーリ。


しばらく前にメモリアルを観に向かっているときにこのシアターを偶然見かけて、なんだか楽しそうなので来てみたのだけれど、とってもよかったです!


ちびっ子たちは、声をあげたり、ひそひそ話したりしながら、お父さんお母さん達もぶっと笑ったりしながら、役30分の人形劇を楽しんでました。 たぶん一人の人形使いの人が声色を変えながらすべての役をやっているような印象を受けました。 


ここで観れるのは、下から棒で操る人形と、上から糸で操るマリオネットと、演目によって2種類の人形劇を見せてくれるみたいです。

Puppentheater Firlefanz Berlin/ Preuβsche Marionettenoper Berlin
www.puppentheater-firlefanz.de


人形劇の後は、古代ギリシャのコレクションで知られるペルガモン美術館へ。 美術館は体力がいるので(いっぱい歩くしね)、腹ごしらえにお昼ご飯を食べに近くのレストランへ。  普段はレストランに入ることはめったにないのだけれど(高いしね)、手軽に食べるところを探すのも面倒で、今日はちと贅沢(笑)


入ったのは川沿いのメインの通りからすこし入ったところにあるじゃがいも料理のお店で、その名も『いも倉庫』(笑)

Der Kartoffelkeller
www.kartoffelkeller.com

Biribiが食べたのは、玉ねぎの入ったお芋のパンケーキ(3枚)に、スモークサーモンとサラダがついたもの(写真)。すっご量に見えるでしょ? すっごい量なんです。で、わたくし、完食です(笑) こんなに食べられる自分が、こわい(汗)


しっかりお昼ごはんを食べた後は、ペルガモン美術館へ。


ここには、古代、古代中東、イスラムアートの3つの常設展示があり、どれも有名ですが、特にペルガモン祭壇が有名。


かなり巨大な美術館なので、今回は二人の興味の対象、古代ギリシャ・ローマ時代の展示を中心に観る事に。 


入場料を払い、ペルガモン祭壇が再現してある部屋入るなり、Biribiもヘンゼルも大興奮!!  


広い部屋をぐるりと取り囲むのは、発掘されて遺跡をつなぎ合わせて再現された、タイタン(巨人)と神たちとの戦いの壁の彫刻(フリーズfriezeというそうで、辞書では装飾帯と訳されています)。

タイタンたちの身体は半身が動物や蛇だったりして、生きているよう。 多くのギリシャ神話の神様たちの顔は破壊されていたけれど、ゼウスやエロス、アテナ、アフロダイトなどが、そりゃぁもう美しい力強さで彫ってあるのです。 


Biribiの勉強している修辞学は古代ギリシャ時代に書かれたものを古典としているので(Biribiの専門ではないですが)、実際にその時代を旅してきたこれらの遺跡の囲まれていると、当時の人たちが何を考え、何を話して、どんな生活だったか想像するだけでも鼻血でそう(笑)


そして、そして!
次に目の前に現われるのが、聳え立つ円柱たち。  古代ギリシャ時代に、小アジア(Asia Minor、現在のトルコあたり)のミレタス(Miletus)のマーケットの入り口に立っていたものだそうです。


ぞわぁぁぁぁぁぁぁぁぁと身の毛がよだちました。 
古代の建築物って、なんて威厳に満ち溢れているんでだろう!  とてつもなく高く、美しく、円柱の下に立って見上げているだけで、生命が漲ってくるのです。 呼吸が深く、速くなって、細胞のひとつひとつが、ぞわぞわとざわめいて、畏敬せずにいられません。


この偉大さのすばらしいことといったら!
ゴシック建築とはまったく異なる壮大さ。 ゴック建築は、天井を高く、教会を偉大にすることで、その中に入る人たちをちっぽけで、小さくな存在にしてしまうことで、対照的に神の偉大さを強調するののだけれど、 ギリシャ時代のこの壮大な円柱は人を小人化するどころか、I am great!と言い、古代ギリシャの人たちのように、自己の際限を体現したくなるような壮大さなのです。 



生命を活性化させ、いい生を生きたいと思わせる、そんな建物。 
深く息を吸い込んで、静かに、力強く、前を見据えて進みたくなるようなスペース。  


ルネッサンスの時代に、ヒューマニズムが戻った場所。 フーコーが後期に展開した生権力論の資料となった場所。 


あぁ!! いけることなら、古代ギリシャへとタイム・トラベルしてみたい!



アドレナリン大放出で、やらためったら大興奮しながら3時間かけてやっと古代ギリシャ時代の展示物を見て終わりました。 今回はかなり急いだので、いつか次回はもっとゆっくり行ってみたいです。