社会の窓

今日はヘンゼルの通ったギムナジアムへおじゃましに行ってきました!  11歳から12歳ぐらいの美術のクラスで、担当はドイツ系スイス人のビンガ先生。 マッツア、フィッヒ、ヘンゼルが12歳ぐらいのときにクラスを3年間受け持った先生です。  このあいだヘンゼルのお母さんが偶然、スーパーでビンガ先生に会って、そこから話が進んで『卒業生いらっしゃい』みたいな感じでクラスへお呼ばれ。 今回は私もくっついていって授業参観。 


学校についてみると、バンダナしてたり、ひらひらの袖のドレスを着ていたり、ピースサインのネックレスを首にかけてたり、なんだかヒッピー風のファッションの子がやたら多い。 えー最近はこんなファッションが流行ってるん?!
80年代のファッションがカムバックしてるったって、ヒッピーまで戻ってきたんかいな? 


ビンガ先生のクラスに入ると、子供達みーんなヒッピー  ぶっ 
なんと今日はヒッピー・ファッションの日だそうです(爆) 子供達に聞いてみると、なんでも、ファッションテーマがいろいろあって、この間はシックドレス(正装)の日、その前はビーチ・デーだったらしい。 お気に入りは、ヒッピーと正装と、けっこう分かれていました。 みんなそれぞれ工夫してて、自分なりのヒッピーの理解を示してるようで、楽しい企画ですね(日本とかでやると、大人のほうが張り切っちゃって大変そうだけど)


私が生徒と話すときはもちろん英語なんだけれど、みんな英語がうまいからびっくり。 この学校では、最初に習う外国語がラテン語でなのだけれど、最近はラテン語ギリシャ語に加えて、英語の3本立てが必修なのだとか。(ギリシャ語は、宿題が難しいとみんなに不評・笑)  みんなまだこの学校にきて1年半ぐらいなのに、英語が上手。 かたことじゃなくって、ちゃんと意味の通った文で答えてくれるし。 ま、必修外国語がラテン語ギリシャ語だったら、英語なんてへのカッパかもしれんね。


授業の間は、会話形式でアメリカの大学の費用や、哲学の話、このギムナジウムで学んだこと、等々ビンガ先生とヘンゼルが話していました。  側に座って聴いている間、20人ぐらいの生徒たちを眺めていたら、あぁここはいい学校なんだろうなぁと思えてくるのです。 


生徒達は11歳から12歳なのでそれなりに落ち着きがなかったりするのだけれど、顔をのぞいていると、ひねくれたり、スレた感じの子がいない。 みんな賢いんだけど、狡猾なところがない。  あと、ベルリン特有かもしれないけれど(ベルリンは南ドイツとは文化的にけっこうちがうみたいで、プチブルみたいなのを嫌がるの)、優越感を身にまとってない。 なんか、みんなかわいいのだ。 


そして、教室はとっても質素。 アメリカなんかに比べれば、コンピューターもハイテクなオーディオ機器もないんだけれど(美術用の教室だからかもしれないけどね)、そんなものはきっと二の次。 なによりも、きっと先生の、そして教える内容の質がいいんだろうなぁ。 


ビンガ先生は50代後半の先生で、とってもチャーミングで優しい感じなんだけれど、マッツァ曰く、あの先生にギョロリと睨まれたら速攻でみんな大人しくなるそうです(笑)  


この美術のクラスでは、 順番に何人かの有名な抽象系の画家について学んで、その手法を真似しながら抽象画を描くことによって、画家の伝えんとしていること、美術的な手法の意味を模倣することから学ぶというもの。すっげぇ うらやましい。 私もそんなクラスとってみたい! 

今みんながやっているプロジェクトを見せてもらったあと、生徒と親がボランティアで経営するカフェテリアでコーヒーをご馳走になりながら、先生と一緒におしゃべり。


このギムナジアムは1600年代に創立された学校で、ヘンゼルがこの間おしゃべりにお邪魔した前代の校長先生は、威厳と風格のある、学校の文化にそった方だったそう。 ビンガ先生曰くその後『しょーもない校長』がきて、先生達の間に派閥を作ったりしたけれど、今の校長先生はとてもマネージメントに長けてて、うまく学校を運営しているそうです。 前代の校長先生たちに運営やマネージメントの技量は求められていなかったけれど、今は校長先生はまた違ったスキルを要請されているようです。 マッツアも息子のフィリップ君をこの学校に通わせたいと思っているみたいだし、何百年もの歴史のある学校なので、こうやって時代の中を模索しながら、いい教育を与える学校として続いていって欲しいです。


ビンガ先生の旦那さんはギリシャの人で、ギリシャにも家があるのだそう。 ペルガモン美術館の話をしたら、部屋はあるから今度はギリシャにいらっしゃいって!(狂喜乱舞) 前々から、ギリシャには行きたいなぁと思っていたんだけれど、ヘンゼルの腰が重くってね(笑)  これで、やつもギリシャ旅行へのモチベーションが高まるかも。 ギリシャで、いろんな遺跡をみれたら! 


ヘンゼルの育った環境とお世話になった人たちとこうやって繋がりながら、過去を少しずつなぞることで、新しい地平が開けてくるようです。